僕自身はやっぱり、監督のイメージをどれだけ精度を上げて形にできるかということを頑張るだけでよかった。特になにか政志の人間力を出すためにやったことはないんですけど。
しかし、二宮本人がまとう「人たらし」の雰囲気も、政志を魅力的に見せる大きな要因となっているのは間違いない。
二宮:う~ん……自覚はないんですけど、僕は普段から、あまり人との間に壁を作らない人間だから、そう見えるのかもしれませんね。
■4人がいると心強い
二宮:ただ、わりといつもそうですけど、僕は役作りをして役に近づいていくのではなく、役を自分に引き寄せて演じるので、そういう意味では、政志も僕に寄せて演じているとは思います。というか、ここまでは自分で、ここからは政志という、役に切り替わるスイッチみたいなものもないんですよ。本番になるといつも自然に切り替わるというか……うまく切り替わらなかったことは一度もないですね。そういうやり方で、小さい頃からきているので。
それはジャニーズという場所で鍛えてもらったおかげだと思います。
政志が写真家としてくすぶっているときも、才能を信じ、勇気をくれる人がいた。自身にそんな経験はあるだろうか。
二宮:僕、相談って、本当に誰にもしないんですよ(笑)。上の方がなにか気を使ってくれて言葉をかけてくださることはありますけど。
もし、誰かのアドバイスみたいなものを真剣に聞くとしたら、それは多分、嵐のほかの4人だけでしょうね。自分たちが置かれている立場とか、責任、ときにはストレスも含めて、同じ立場で共有できるのはあの4人しかいないので。
だからといって何か口うるさく言ってくるような人たちではないんですが。でもまあ、いざとなったらあの4人がいると思うと心強くはありますよね。
物語を通じて一番伝えたいことは「人の縁」の面白さだ。
二宮:この映画を観たら、きっと人の縁を大切にしたくなると思います。
僕が監督に出会ったのも、こうして記事を見てこの作品を知った人も、それも「縁」です。そして、その縁はきっとまたどこかにつながっている。縁を楽しんで、見に来ていただきたいですね。
(ライター・大道絵里子)
※AERA 2020年10月5日号より抜粋