逆に、芸能人や有名人やインフルエンサーなど、「自分と直接関わらない人物」となると、言葉も行動も直接交わすことがないのでルックスで判断することになります。だから、人は会ったこともないアイドルや俳優やモデルを応援するのです。

 YouTuberも、このカテゴリに入ります。演者が出演する場合はルックスの要素が強い、というのは多くの場合は視聴者と直接関わらないからです。ファンになるきっかけが、ルックスなのです。芸能人やモデルの場合、圧倒的なルックスの良さが武器になります。ファンにとっては夢や理想、憧れであり、応援することがある種の現実逃避になります。InstagramやTikTokも、ルックスが良い方が有利なプラットフォームです。写真や短い動画を見る場合は、見た目が良い人の方が好まれます。

 では、YouTubeはどうかというと、美男美女よりも「親しみやすさ」が重視されます。再生されやすい顔は、きれいな顔や整った顔ではなく、身近に感じやすい、友達にいそうな顔や面白い顔だったりするのです。このあたりの基準は芸人さんに近い部分もあります。YouTubeは他の媒体に比べて、演者が視聴者とコミュニケーションをとる要素が多いのと、長い動画を視聴するには面白さや「見ていて疲れないルックス」というのが結構大事です。自分よりきれいな人やイケメンを見ていると、精神的に疲れることがあるのです。

 また、インサイトと呼ばれる本能的な部分で、言い方は悪いですが「自分より下を見て安心したい」という欲求もあります。特にコロナで経済や情勢が不安定なので、今はこのニーズが高まっているかもしれません。視聴者に「自分より下だ」と思わせる動画は再生されやすいのが現実です。ルックスだけでなく、失業や失恋、借金や貧乏などの環境の要素も含めてです。マウンティングの反対で、ダウンマウンティングと呼びます。

 冒頭で、演者のルックスによってチャンネルの方向性を決めるといいましたが、憧れ枠、友達枠、ダウンマウンティング枠、など様々なキャラクターがあります。どのポジションを取れるのかを判断して、チャンネルを設計します。もちろん、顔出しをしない場合も多いです。ルックスが与える影響は大きいです。

 ルックスは、最も表面的で薄っぺらい要素ですが、影響力が大きいです。人は見た目で判断されやすく、そのイメージはとても強いものです。「画面の向こう側の人」の場合は、見た目だけで判断される部分がほとんどです。今回の伊勢谷さんの映像は、ルックスの影響力を強く感じた出来事でした。

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