朝日を浴びながら、リズムを刻む。寝ている間には水分が失われているので、水分補給をしてから歩こう(撮影/写真部・張溢文)
朝日を浴びながら、リズムを刻む。寝ている間には水分が失われているので、水分補給をしてから歩こう(撮影/写真部・張溢文)
AERA 2020年10月12日号より
AERA 2020年10月12日号より

 モーニングルーティンは人それぞれだが、仕事への効果を考えてぜひ取り入れたいのが「朝ウォーク」。AERA 2020年10月12日号は、「朝ウォーク」を実践するメゾンカカオ代表の石原紳伍さんにその効用を聞いた。

【「朝散歩のメリットと方法」「夕・夜散歩のメリットと注意点」はこちら】

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 朝6時。水を一杯飲んだら、外に出て30分から1時間ほどのウォーキングをする。ここ半年で、これがモーニングルーティンに組み込まれた。

 アロマ生チョコレートブランド「メゾンカカオ」の代表でカカオ・ディレクターの石原紳伍さん(36)は毎朝7時、決まってチョコレートを口にし、その日の味覚、感覚、体調を確かめる。まっさらな状態で臨むため、その前に30分から1時間ほど体を動かし、自分をリセットするのが習慣だ。

 実はコロナ禍の前は、ランニングやサーフィンなど、どちらかというと激しい運動を好んでいたという。

「忙しかったり、選択を迫られるような追い詰められた状況になるほど、なぜか自分に負荷をかけたくなるんです。でも、以前はひっきりなしにあった海外出張がコロナ禍でぱったりとなくなった。時間や気持ちにゆとりができたことで、朝のウォーキングを始めました」

 歩くペースは元々やや速め。それでも、ランニングやサーフィンに比べて余裕が持てるウォーキングは、深く考える思索の時間になるという。

「前日のことや誰かと話したことを振り返り、相手はどういう気持ちだろう、どういう意味があるだろうと多面的に考えたりしています」

 自宅のある神奈川県鎌倉市は、海にも山にも近い。その日の気分で海に行って波の音を聞くこともあれば、山に行って緑を楽しむこともある。時には裸足になり、砂の感触を楽しむ。こうして自然に触れ合う時間が、インスピレーションを生む。

「チョコレートのテクスチャーは波の滑らかさから生まれることもあるんです。自然とのつながりは、アイデアが湧き上がる、特別な時間です」

 もともと石原さんは、歩くことを大切にしていた。社員と出張に行ったときには、朝食前に必ず全員で街に出て散歩をする。それがメゾンカカオのルールだ。歩くことでその土地の歴史や文化を感じ、それが仕事にもつながると考えている。 

「今や歯磨きと同じ。天気が悪かったり出張が入って朝歩けないと、落ち着かないですね」(石原さん)

(ライター・井上有紀子)

AERA 2020年10月12日号より抜粋