今季限りで引退を決断した巨人の岩隈久志投手。西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏が岩隈の印象を振り返る。
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巨人の岩隈久志が今季限りで現役を引退することを表明した。日米通算170勝か。メジャー時代の2017年9月に右肩を手術した。39歳。巨人では今季までの2年間で1軍登板はなかった。もし、これが「外様」じゃなかったら、もう少しわがままが通ったかもしれない。しかし、これ以上はチームに迷惑がかかると判断したのだろう。お疲れさまといいたい。
私が西武の監督をしていた1999年のドラフトで近鉄に入団した。上背はあったが、線が細く、出てくるまで時間がかかるかなと思ったが、高卒入団から2、3年で出てきた。とにかく腕の長さから球持ちがいい。なかなかリリースされないから、打者はタイミングがずれる。直球は150キロ前後だったが、球速以上にキレを感じる。制球力も抜群だった。
2004年の近鉄の合併騒動、そして翌05年の新球団、楽天での投球。同じ投球回でも、必要以上にエネルギーを使うなど、おそらく目に見えない負担がかかっていたろうと思う。いい意味で手を抜ける試合がどれだけあったか。特に楽天1年目の05年は戦力的に苦しい中、岩隈が投げる試合だけは勝とう……という空気感もあった。本人にしかわからない思いもあったろう。
そして、忘れられないのが、09年の第2回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)だ。まさに世界一の立役者となった。MVPを獲得した松坂大輔も「あれは岩隈が獲るべき賞」と話していたのを思い出す。
この時期になると、どうしても選手の引退、もしくは戦力外といった動きが表面化する。10月26日にはドラフト会議が行われる。今年は本指名と育成指名の配分は変わるかもしれないが、それでも各球団10人近くは指名するだろう。そうなると、単純に現在在籍している10人程度は切らなきゃいけない。