エリオット・アーウィットといえば、世界的に有名な写真家だ。御年84歳。25歳で、かのロバート・キャパに推薦され、写真家集団「マグナム・フォト」のメンバーに。以来60年近く、写真界の第一線で活躍し続けている。愛らしい犬の写真、といえば「ああ!」と思う人も多いはず。美の中にあるウイットとユーモアが彼の作品の持ち味だ。
「作品と作家の印象が違う人もいるけれど、彼は同じ。上品でユーモアがある人です」と言うのは、アーウィットと親交がある写真家・平野正樹さん。今回アーウィットは、“アンドレ・S・ソリドー”という架空の写真家になりきって撮影。カラフルな色彩の写真はこれまでとは正反対の作風だが、キングコングが登場、さらにはキングコングを持ち上げる女性が登場する作品など、独特のウイットは健在だ。アーウィット自身は、「今のアートシーンを皮肉った遊びだよ」とサラリと答えている。
※週刊朝日 2013年2月8日号