大阪都構想の賛否を問う2度目の住民投票で、前回の反対から賛成に転じた公明党。国政では自民党と連立を組むが、今回の住民投票では大阪の自民とは対立することになった。その狙いは何だったのか。公明党の山口那津男代表に、ジャーナリストの田原総一朗氏が切り込んだ。
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田原:11月1日に大阪都構想の可否を問う2度目の住民投票がありました。公明党は賛成だったが、結果は僅差(きんさ)での否決。
山口:5年前の前回と同様、きわめてわずかな差で否決されました。ともに1万、2万票差だったということは、賛成、反対に強くコミットする市民がいるということです。
田原:公明党は、前回は反対の立場だった。
山口:賛成に転じた一番の理由は、昨年の大阪府知事と大阪市長のダブル選挙です。大阪維新の会の吉村洋文氏と松井一郎氏が「我々に都構想をやらせてください」と訴えて圧勝した。圧倒的な市民の意思が維新の会に向かったんです。その民意を無視することはできません。
田原:党内に反発はなかった?
山口:今まで反対してきた経過からすれば、そのまま賛成にくら替えはできないだろうと。都構想にまずい点はないか、しっかりチェックしていくべきだと考えて、維新に四つの条件を出した。市民サービスの低下を招かないこと、特別区設置コストの削減、現行の役所の機能維持、児童相談所の増設です。維新はそれらをすべてのんだ。初期コストも懸命に削って、6割減を提示した。それなら協力しましょうと。
田原:賛成を訴えるため、代表自ら大阪に赴き、街頭演説に立った。
山口:3カ所でやりました。その場での手応えはあったように感じましたが……。実際に投票した方に聞いてみたら、投票用紙に「大阪市を廃止して特別区を作ることについて賛成ですか、反対ですか」とあったと。「都構想」という言葉から自分なりのイメージで判断を持っていた人が、「市がなくなる」と見て考え込んでしまったのかなというのは興味深いところです。説明が浸透しきらず、十分に納得してもらえなかったのは党の責任だと思っています。