「来年はダメでも良いんやないのか」
広島東洋カープOB正田耕三から、衝撃的な言葉が聞かれた。
3連覇から一気に転落した赤ヘル軍団。立て直しには時間と労力が必要になりそうだ。
「過渡期を迎えていてしばらく時間がかかる。佐々岡真司監督は1年契約なので、球団もどう判断するのか。本来なら3年くらいかけてチームを根本から立て直したかった。今年は種まきをしたかったけど、それができなかった。1年遅れで来年は種まきからやるくらいじゃないと、根本的な立て直しは難しい。やるべきことは多い」
広島は16年からリーグ3連覇を達成、攻守で圧倒的なチーム力を身につけた。同時に社会的ブームになった“カープ女子”など新規ファン獲得にも成功。かつての地方マイナー球団のイメージを払拭し、全国的に名だたる人気チームに変貌を遂げた。
しかしその期間も長くは続かなかった。チームはたった2年の間に最下位争いに顔を出すまでに崩壊。強さを失ったカープからは、かつての熱も感じなくなり始めている。
「緒方孝市前監督の残した功績は素晴らしい。広島の歴史の中で3連覇を成し遂げた監督はいないわけだから。チーム力もピークと言えた時期だったので、日本一になって欲しかった。色々言われるが、鈴木誠也など球界を代表する選手を輩出し、結果を残したことは確か。しかしチーム内に少し慢心が生まれてしまった。セ・リーグでは勝つことができたし、人気が出ることで球団は儲かり、給料も上がって来る。良くない傾向は出始めていただろうし、マンネリ打破のためにも(緒方)監督交代は仕方なかった。どんな強豪球団でもそういう時期は迎える」
3連覇を成し遂げ、人気チームになったが故の“マイナス点”も指摘。そして、このタイミングで監督未経験の指揮官が就任したことについては以下のように語る。
「難しい時期に佐々岡監督は引き継いだ。チームが少し緩んだ状態だったし、監督としての経験も浅かった。佐々岡監督とは現役時代に一緒だったが、とにかく人が良すぎる。誰に対しても嫌われないように気を遣う。本来なら慢心が見られるような選手は試合から外すべき。選手からすれば試合に使われないことが最も辛い。しかし佐々岡監督は、そこまでの厳しさをまだ持ち合わせていない。この部分は、監督としての経験を積んでできるようになると思う。結果論になるが、いろいろな意味で今年は最初から戦える状態ではなかった」