東大入試目前、受験生たちは追い込みに必死だろう。ところで、100年前の東大ではどんな入試をしていたのだろう? そんな素朴な疑問から昔の入試問題を掘り起こした。大正時代の東京帝国大学の入試問題をみていこう。

 まず驚かされるのは、入試問題のほとんどが語学力を問うものであることだ。「当時は、医学、法律、工学など、どの分野においても、欧米のものを輸入して研究していたのです。必須なのが語学力でした」(同志社大学経済学部の橘木俊詔教授)。

 特に、最難関の法学部では、大正から戦前期までを通して、語学以外の科目をほとんど課していない。ひたすら欧文和訳(英文のほかに独文、仏文)と和文欧訳である。それほどに、かつての東京帝国大学は、「語学」を必須と考えていたのだ。

『「東大」英語のすべて』(研究社)や『東大の英単語』(教学社)などの著書があり、東大英語のスペシャリストとして知られている鬼塚幹彦氏に、当時の英語の問題を見てもらった。

「大正時代の問題をいま見ても、古さが感じられません。いまの問題だと言われても納得しますね。いまの受験生がこの問題を解いて勉強しても、実力がつくと思いますよ」(鬼塚氏)

週刊朝日 2013年2月22日号