東京フロッグキングスを率いる北島康介ゼネラルマネジャー(GM)も現役時代、複数の国で行われるワールドカップ(W杯)や欧州グランプリに出場して連戦の経験を積みました。海外を転戦して、どんな環境でも力を出せる適応力を磨いたことが、五輪2大会金メダルにつながりました。

 欧州では夏から秋にかけて新型コロナウイルスの感染者数が急増しています。大会が終わった後、欧州の選手はどうするのか聞いたところ、オランダ、フランス、ドイツ、イギリスなどのトップ選手の多くは、各国のナショナルトレーニングセンター(NTC)に戻って練習を続けると言います。コロナ禍の中で国が競泳選手の活動をサポートしているのです。

 一方、日本では海外から帰国した選手は2週間、感染拡大防止のためにNTCが利用できない状態が続いています。東京フロッグキングスでも帰国直後の練習場所の確保に頭を悩ませている選手がいます。

 来年の東京五輪開催を目指す国として、海外で試合をした選手が帰国してすぐに練習が続けられるように、欧州各国のような支援策の充実を望みます。

(構成/本誌・堀井正明)

平井伯昌(ひらい・のりまさ)/競泳日本代表ヘッドコーチ、日本水泳連盟競泳委員長。1963年生まれ、東京都出身。早稲田大学社会科学部卒。86年に東京スイミングセンター入社。2013年から東洋大学水泳部監督。同大学法学部教授。『バケる人に育てる──勝負できる人材をつくる50の法則』(朝日新聞出版)など著書多数

週刊朝日  2020年11月27日号

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