それから、驚いたのはDASH・チサコと橋本千紘(共にセンダイガールズプロレスリング)の女子選手だ。男子選手との混合タッグマッチだったけど、その中にあってあの2人はキレイな小気味いいプロレスをしていたね! 取材に来ていた記者たちからの評価も高かったよ。女子選手ながら潔い試合をしていて、俺は少し悔しかったくらいだ。女子だから目立ったんじゃなくて、あの日の試合の中で目立って、引き立っていた。チサコは5年前の俺の引退試合興行にも出場していたけど、橋本は初めて。この5年間でチサコの成長した姿が見られて、さらに橋本という新しい才能を持った選手も見ることができた。ここに5年間という月日を感じたね。
彼女らだけじゃなくて、5年前は若手だった拳剛(フリー)、河上隆一(大日本プロレス)、那須晃太郎(ランズエンドプロレスリング)たちも、当時とはくらべものにならないくらいからだも“態度も”大きくなって(笑)、久しぶりに会っても最初は気づかなかったくらいだ。5年前はおどおどしながら試合をしていた彼らも、今回は堂々と自信満々に試合をしている姿を見て、本当に成長したんだなと感じることができた。変わっていなかったのは(78歳の)グレート小鹿くらいだ! 変わらないのがすごいんだよね(笑)。プロレスの先輩として、成長した後進の姿を見られるのは嬉しい。相撲界で言ったら、今の北の富士さんのような気分かな?
さて、いよいよ、天龍源一郎とオカダ・カズチカのトークバトル。本当は俺がオカダの後にリングインする予定だったんだけど、俺の希望で先にリングに上がらせてもらった。オカダの入場シーンをリング上から見てみたいと思ったからだ。まず、俺がリングイン。今は脊柱管狭窄(きょうさく)症の影響やら、引退後にからだのケアをしていなかったツケで、杖をつきながらの入場となったわけだけど。以前はお客さんの前に杖をついて出るのはカッコ悪い、恥ずかしいという気持ちもあったが、今ではそんなモヤモヤもすっかり消えている。どう思われようと俺の成れの果て……と言っていいのかな(笑)、今のありのままの姿を見てもらいたいと思っている。プロレスラーが引退して長生きすると、からだにどれだけのダメージが残るのか。それを後輩やファンの方たちに身をもって見せることも、俺たち世代の役割だと思うんだよね。