とはいえ、今のからだの状態で堂々と歩けるか、ちゃんとリングインできるか不安はあったんだ……。ところが、いざ入場となって現役時代のテーマ曲『サンダーストーム』がかかると、これまでにないくらい絶好調にからだが動くんだよ! いやあ、音楽というのは不思議なものだね。俺の葬式のときはこの曲をかけないでくれよ。この曲を聴いて起き上がったりしたら大変だろう!

 俺が先にリングインしてオカダの入場を見ていたけど、5年前よりも風格があったね! 俺が相手の入場する姿を見てカッコいいと思ったのは、高田延彦とこの日のオカダだけだ! ただ、入場する姿はカッコいいが、俺はオカダに対してある不安を持っていた。それは、トークバトルが決まってから周囲の人間によく言われていた「オカダは口下手でトークが苦手。時間が持つのか?」ということだ。そんな話を散々聞かされていたから、俺は「時間が余ったらどうするんだよ……。俺もそんなに話をひろげられないぞ……」と、ソワソワしていたんだ。

 ところが! トークバトルが始まるとオカダは「こんなにしゃべるのかよ!」というぐらい、流暢にグイグイ話し出したんだよ! いやぁ、完全に予想外だったし、コテンパンにやられたね。トークバトルの結果は引き分けとなっているけど、俺の完敗だったよ。オカダは自分のプロレス人生に自信があるから、同じレスラー同士でも位負けしないで堂々としゃべることができる。自分でも「トークは苦手で……」なんて言っておいてよ(笑)。それにトークが始まる前に、オカダがマイクを両手で持って俺に渡してくれた。こういうちょっとした気遣いができるのも憎らしいね。思わず「ありがとう」と言ってしまって、トークバトルする前から“あ、これは負けたね”と思ってしまったんだ。引き分けという結果になって、再戦要求があったけど、次は居酒屋開催してオカダを酔いつぶして、なんとしてでも勝とうと思っているよ(笑)。

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「オカダ、よくぞ来てくれた!」という会場の雰囲気