「友情には“旬”のようなものがありますよね。それぞれ“いま”どう生きているかで、求める友人関係は変わると思うんです。仕事における“メンバーシップ型”と“ジョブ型”の違いのようなものかもしれません」(Cさん)
メンバーシップ型とは新卒一括採用と終身雇用を基本として、そこに集まった人ごとに仕事を割り振る。人の出入りは固定される傾向にあり、同じ組織にいる人たちとうまくやっていることが求められる。学校に行けば友だちがいて一緒に過ごすことでより親しくなるというのは、さしずめメンバーシップ型の交友関係だろう。ジョブ型は仕事に人を当てはめるので、その仕事を遂行するに見合った能力を持つ人たちが集められる。
「交友関係においては能力ではなく、価値観でしょうね。これまで生きてきた道が違っても、仕事や恋愛、結婚生活、子育てなどに対して、共通項が多かったり近い問題意識を持っていたりする人たちとは親しくなりやすいと感じます」(Cさん)
Aさんのママ友との交流は、メンバーシップ型の交友関係といえるだろう。けれど、子育てという共通の課題もあるためジョブ型の要素もある、ハイブリッドタイプだ。Bさんの場合、同期というメンバーシップ型からはじまった友人関係だが、それぞれのライフステージが進むことによって変化が訪れているのかもしれない。
主人公3人は、まさにジョブ型だろう。彼女らの会話は、不倫や婚活、結婚生活など、本人が解決したいと思っている課題についてがメインだ。もしかしたら、それぞれほかに学生時代からつづくメンバーシップ型の友人がいるかもしれない。けれど、課題を共有したいのはこの顔ぶれなのだ。辛辣な言葉が返ってくることもあるけど、思いもかけない視点を得ることもある。
■「弱みを共有しているから、仲よくなれる」
ストーリーが進むにつれ、課題はより複雑になっていく。既婚男性との関係から抜けられなくなる美玖、夫の不倫相手と対峙することになった弓子。傍観者の立場からふたりの問題をクールに分析するユリも、何かを抱えていそうだ。