大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
大塚篤司(おおつか・あつし)/1976年生まれ。千葉県出身。医師・医学博士。2003年信州大学医学部卒業。2012年チューリッヒ大学病院客員研究員を経て2017年より京都大学医学部特定准教授。皮膚科専門医
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※写真はイメージです(写真/Getty Images)
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 いつもは医療に関するコラムを執筆している京都大学医学部特定准教授の大塚篤司医師ですが、今回は、大ファンであるB’zにからめたコラムに挑戦。皮膚科医として医療に関する情報も盛り込んでのコラムをお届けします。

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 B’z初の無観客配信ライブ「B’z SHOWCASE 2020-5 ERAS 8820-Day1~5」がいよいよ明日(11月28日)に最終日を迎えます。10月31日にスタートした今回のライブは5週連続の配信です。B’zのこれまでの32年を五つの時代にわけ、80曲の違った曲を演奏するというファンにとっては願ってもない豪華なライブとなっています。

 私は1990年のアルバム「Risky」からのB’zファンなので、あの衝撃から30年の月日が経ちます。

 B’zの魅力は数え切れないほどあるのですが、その一つはやはり、ギタリストの松本孝弘さんのメロディーと、ボーカリストの稲葉浩志さんの歌詞でしょう。二人の役割分担はデビュー当時から続いており、松本さんのメロディーを聞けばすぐにB’zとわかるし、稲葉さんの歌詞はダサい男性を描いた内容でもかっこいい。

 他のアーティストと同じくステイホーム期間中にB’zもYouTube配信をいくつか行いました。配信の中で松本さんが「ネットニュースを読んでいます」というコメントがあり、熱狂的なファンの私としてはB’zについて何か書かなければという思いに駆られました。

 しかし、このアエラドットの連載は医療についてのコラムです。B’zにふれる機会がない。そこで思いついたのが、松本さんと稲葉さんの関係に近い皮膚病の話題はないか?というむちゃくちゃな問いでした。締め切りまでの2週間、ひたすら考え続けました。

 お二人の役割分担。一人が前に出ているときはもう一人は後ろに下がって……。皮膚病で何かないだろうか。知らない人に少しでも役に立ちそうな情報も踏まえて、と考えていたらありました。出てきました。

 それは、アトピー性皮膚炎と尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)です。

 アトピー性皮膚炎は日本全国で45万人以上の患者がいるといわれている皮膚のアレルギー疾患です。皮膚のかゆみ、乾燥肌、そして免疫機能の異常が原因の3本柱と言われています。治療の基本はステロイド外用ですが、それでも治療がうまくいかない患者さんが一定数いらっしゃいましたがその状況は変わりつつあります。アトピーは最近、新薬の開発が盛んです。重症のアトピー患者さんに効果のある注射薬デュピルマブや、ステロイドとは違う作用機序の塗り薬コレクチム軟膏が現場では使われています。その他にも2021年はJAK阻害剤の内服薬が登場する予定です。これまで治療が難しいと考えられていた患者さんにも保険診療でカバーできる新規治療法が使える状況に変わってきました。

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