さらに注目すべきは、ヒットするまでの過程です。鬼滅の刃が躍進したのは、高クオリティのアニメができあがってからです。そして人気が徐々に高まっていき、一定の数字を超えたときに「聞いたことがある」作品となり、さらに「見たことがある」作品となってから爆発的に人気が加速しました。このヒットの流れは、YouTubeにもTikTokにも共通します。瑛人さんの「香水」の曲も同じ流れをたどりました。
現在のYouTubeも、登録者が多いチャンネルが必ずしもヒットするわけではありません。YouTubeの動画は、視聴者の反応によって拡散していきます。全く知らないチャンネルの動画がオススメとして表示され、ヒットしていきます。鬼滅の刃はコロナで暗くなっていた世間と絶妙にマッチした世界観で、時流の流れに乗ってブームとなりました。今、ヒットしやすい作品は音楽でも漫画でもYouTubeでも「陰」のテンションの作品です。鬼滅は家族を惨殺された主人公のストーリーで、作品全体が暗い雰囲気です。音楽もダウナーな曲調の方がヒットしやすく、YouTubeでも「大変そうだな」と思わせるようなマイナスの要素を持つコンテンツがヒットしやすいです。コンテンツそのものにフォーカスするよりも、その背景や人気の要素について考察すると、より作品を楽しめると思います。