来年のドラフト注目候補の一人、市立和歌山の小園健太 (c)朝日新聞社
来年のドラフト注目候補の一人、市立和歌山の小園健太 (c)朝日新聞社

 2020年のドラフト会議は4球団が競合した早川隆久(早稲田大)、佐藤輝明(近畿大)に代表されるように大学生が中心となった。最終的な1位指名12人の内訳を見ても高校生3人、大学生8人、社会人1人と、圧倒的に大学生が多くなっている。しかし来年の候補について見てみると、過去数年と同様に高校生に有力候補が多いように見える。そこで今回は来年のドラフト戦線を賑わせる可能性が高い、高校2年生の有望選手について紹介したいと思う。

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 既に最速150キロ以上をマークしている投手は風間球打(ノースアジア大明桜)、畔柳亨丞(中京大中京)、松浦慶斗(大阪桐蔭)、関戸康介(大阪桐蔭)、小園健太(市立和歌山)、森木大智(高知)、柳川大晟(九州国際大付)と7人を数える。最近では150キロも珍しくないが、2年秋の時点でこの数は過去にはないことだろう。もちろん投手はスピードだけが重要なわけではないが、これを見ただけでもこの年代のレベルの高さがよく分かる。

 この中で来年春の選抜高校野球に出場する可能性が高いのが畔柳、関戸、松浦、小園の4人だ。畔柳は旧チームではほとんど公式戦の出場機会がなかったが、秋からエースとなりチームを東海大会優勝に導いた。躍動感溢れるフォームからコンスタントに140キロ台中盤のスピードをマークし、コーナーに投げ分けるコントロールと変化球の精度も申し分ない。2年秋時点での実力は先輩の高橋宏斗中日1位)と比べても遜色ないレベルだ。高橋は最終学年での成長が著しかったが、それを間近で見ていただけに畔柳も目玉クラスになる可能性は十分にありそうだ。

 松浦と関戸の二人は中学時代から注目を集めていた投手。松浦はどちらかというとまとまりのある左腕という印象だが、スピードも着実にアップしてきた。8月に行われた甲子園交流試合でも東海大相模を相手に見事な投球を見せている。秋は今一つストレートが走っていなかったが、それでもしっかりと試合を作れるのはさすがだ。貴重な大型サウスポーだけに今後も注目を集めることになるだろう。

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西尾典文

西尾典文

西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材し、AERA dot.、デイリー新潮、FRIDAYデジタル、スポーツナビ、BASEBALL KING、THE DIGEST、REAL SPORTSなどに記事を寄稿中。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。ドラフト情報を発信する「プロアマ野球研究所(PABBlab)」でも毎日記事を配信中。

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