関戸は夏の大阪独自大会で視察したスカウトのスピードガンで154キロをマークしており、現時点では世代最速と言われている。秋の近畿大会は太ももの故障もあって短いイニングでの登板となり、スピードもそこまで出ていなかったが、持っている馬力は申し分ない。春に万全の状態でどれだけの投球を見せてくれるかに注目したい。
そして総合的に現時点で世代ナンバーワンと見られるのが小園だ。最速152キロというスピードがどうしても先行するが、それ以上に素晴らしいのが変化球も交えた投球術だ。打者の手元で鋭く変化するカットボールとツーシームを見事に操り、コントロールも高レベルだ。秋の近畿大会では3試合、22回を投げてわずか1失点と圧巻の投球を見せている。選抜でも最注目の選手と言えるだろう。秋は残念ながら早く敗れてしまった風間、森木、柳川の三人も大型で潜在能力の高さは申し分なく、春以降の巻き返しに期待したい。
その他の投手では田中楓基(旭川実)、木村大成(北海)、福島蓮(八戸西)、伊藤樹(仙台育英)、秋本璃空(常総学院)、大川慈英(常総学院)、石田隼都(東海大相模)、達孝太(天理)、市川祐(関東一)、阪上翔也(神戸国際大付)、中西聖輝(智弁和歌山)、毛利海大(福岡大大濠)などがこの秋に目立った投手たちだ。木村、伊藤、秋本、大川、毛利は選抜出場も濃厚だけに、ぜひ甲子園で注目してもらいたい。
一方の野手は投手ほど多く名前が挙がっているわけではないが、希少価値の高い強打者タイプが目立つ。今のところ有力候補となりそうなのが吉野創士(昌平)、有薗直輝(千葉学芸)、阪口樂(岐阜第一)、前川右京(智弁学園)、徳丸天晴(智弁和歌山)の5人だ。
吉野は中学時代から強打の捕手として評判だった選手で、高校入学後に打撃を生かすために外野手に転向。入学直後からホームランを量産し、既に通算本塁打は40本を超えている。少し細身だがリストワークの良さは抜群で、スイングに柔らかさがあるのが特長。強肩も魅力だ。有薗も1年夏から4番を任されている右の強打者。見るからにたくましい体つきで力感は申し分なく、悪い癖のないスイングで楽に引っ張ることができる。スケールの大きさで目立つのが阪口だ。この夏は加藤翼(帝京大可児→中日5位)の149キロのストレートをライト上段へ運び、一躍その名をとどろかせた。秋はもうひとつ調子が上がらなかったが、ヘッドスピードと飛距離は抜群なだけに確実性がアップすれば一気に上位候補に名を連ねることになりそうだ。