そこを襲う第3波にどう対応すればいいのか。ニッセイ基礎研究所チーフエコノミストの矢嶋康次さんは言う。

「経済とコロナ対策を両立するためには、本来なら臨時国会で感染症法改正などに取り組むべきだったのに手をつけなかった。感染防御の強化策としてPCR検査の拡充はあっても枠組みは変わっていない。抜本的対策が必要と言いながら、数カ月前と全く同じ議論をやっている」

 工夫のない場当たり的な「対策」は、さらなる懸念を生む。

「感染が広がっている40~50代は高齢の親の介護で高齢者施設に行くケースも多い。今の態勢でこうした施設が守り切れるか、かなり不安です」

 また、コロナ対策として最も経験値のない「受験」に対する備えにも不安は残る。これから中学、高校、大学入試のシーズンを迎えるにあたり、学校や試験会場でクラスターが発生したらどうするのか。期間中に感染が判明してしまった受験生はどう対処すればいいのか。

「コロナに関して春先から経験を積んできている我々も、受験に関しては初めてのことになる。特に関係者は心配でしょうし、受験が止まってしまった場合の精神的影響は大きい」

 矢嶋さんは、第3波の経済対策についてこう指摘する。

「ロックダウンしない方向にしても、国民の不安が高まったら補正予算を組むなり対策を講じる他はない。やるやらないの議論ではなく、いち早く結論を出すことが大事です。GoToキャンペーンや観客を入れての各種興行についても、感染状況に応じてストップアンドゴーの決断を潔くすることが肝心です」

(編集部・小田健司、小長光哲郎、大平誠、福井しほ)

AERA 2020年11月30日号より抜粋

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