「最後、娘さんはお金よりもお父さんの体を心配するようになっていました。呼び方も、『あの人』から『お父さん』に変わりました。お父さんも亡くなるまで娘さんの名前を口にしていました」
「しまい方」に多様性があってもいいと話すのは、家族社会学が専門の中央大学の山田昌弘教授だ。
「世間からの非難を覚悟したうえで『家族をしまう』という選択をする人が増えていけば、社会は変わっていくことでしょう。日本は家族主義が非常に強い。欧米などでは家族のつながりは成人すれば自立した大人同士の関係になる。どこまでも自分の親がついてくるというのは日本的でその価値観に押しつぶされてしまうこともあるのです」
(本誌・大崎百紀)
※週刊朝日 2020年12月11日号