

「カツオのたたき」は皆さんご存じと思います。いまさら必要ないとは思いますが、ウロコをそぎ取ったカツオの表面にさっと焼き目をつけて、ネギやニンニクなどの薬味と一緒に食べる料理ですよね。
では、そもそもの由来ってご存じでしょうか? なぜ表面を焼くんでしょうか?なぜ「たたき」って言うんでしょうか?
由来については諸説あるようですが、約400年前、土佐藩の山内一豊が漁師たちがカツオを生で食べているのを見て、食中毒を予防するために生食を禁止し、焼いて食べるようお触れを出したことに始まると言われています。
漁師たちはお触れに従って焼いて食べていましたが、たまたま、表面だけが焼けて中は生のものがあり、これが美味しかったことから、その後は表面だけを焼いて食べるのが広まったそうです。
では、なぜ「たたき」と呼ぶんでしょうか。「たたき」とは、カツオに塩などを振って、味を染み込ませるために手や包丁で上から叩いて調理したことに由来すると言われています。上から塩を振っただけだと振り塩です。それを上から叩いたら「たたき」ということなんですね。
この「たたき」という調理法は、紀伊半島や鹿児島地方にも古くから伝わっているようです。元々は高知県の漁師の間で始まった食べ方が、今では全国的に親しまれているんですね。
同じような事例として「なめろう」があります。
筆者は居酒屋などで日本酒を頼む時には、ほぼ毎回「なめろう」を注文するほどの「なめろうフリーク」なんですが、この「なめろう」も地方の漁師さんの食べ方が全国に広まった一例です。
元々は、千葉県の南房総の漁師さんたちが、漁の最中でも船上で簡単にできる料理として食べられていたものが広まったものです。
「なめろう」という名前の語源については、筆者は「あまりに美味しくて、皿までなめてしまう」からと思っていましたが、他にも「とてもなめらかな舌触り」に由来するという説もあるそうです。
「たたき」や「なめろう」はすでに全国区になっていますが、全国を見てみると、まだまだ全国的には知られていない、とても美味しい調理法がたくさんありますよね。