低迷期を経て、2000年代前半からメグカナコンビ(大山加奈・栗原恵)という若手の大型プレーヤーが主軸になった。その若手の活躍の裏で、世界の高いブロックを手玉にとってきた高橋みゆき(身長170cm)は、『小さなエース』列伝から決して外すことはできない存在だ。空中でコートの空いているところをすばやく判断し、正確にボールを落とすテクニック。一瞬でもブロックの隙間があれば、バズーカ砲のように打ちぬく強打。その高いスパイク技術は世界からも評価され、イタリア・セリエAのヴィチェンツァで2シーズン、プレーした。
高橋が日本代表を去った以後、女子バレー界には世界を席巻するような『小さなエース』はしばらく存在しなかった。しかし、昨年2019年に開催された『FIVBワールドカップ2019』で待望のシンデレラガールが誕生した。彗星のごとく本格的に国際デビューを飾ったのが、石川真佑(身長173cm)だ。石川の魅力は、成田や高橋のようなアップテンポなトスではなく、セミテンポから高く上がった二段トスに対して幅広いコース打ち。大会途中から出場し、物おじしないプレーで次々にスパイクを決めまくった姿は記憶に新しいだろう。
ハンデを感じさせるどころか、頭脳とテクニックという武器で世界と戦ってきたエースたち。今後も女子バレーのキーパーソンになるのは、『小さなエース』かもしれない。