今年、ロンドン、ボストン、ベルリンなどと並び、6大都市マラソンに認定された東京マラソン。2007年の第一回東京マラソンでは、立ち小便が問題化したが、マナーの悪いランナーはいっこうにいなくならない。今年の大会でも、新宿の大ガード下などで立ち小便をするランナーが目撃された。大阪マラソンも同様だ。同マラソン組織委員会事務局の担当者が言う。

「うちは、スタートが大阪城公園前になっているため、出走前にお堀に向けて“解放”するランナーも多いようなんですわ。公園の管理事務局から、『お堀でやっている人、多いでんな』と連絡がありました」

 湘南国際マラソンのように、大会要項に「屋外での排泄行為を失格とする」と明文化する大会もあるが、これはきわめて例外的だ。ロス五輪マラソン代表選手でスポーツジャーナリストの増田明美さんは、海外での事例を証言する。

「ニューヨークシティマラソンに参加した友人が、橋の上から海に向かって立ちションする人を見たと言っていました。海外では女性選手も座りションをしますよ」

 増田さんは、大会のルールで罰則をつけることには賛成しないという。

「理想論かもしれませんが、こんなキレイな風景の中で立ちションしたくないなぁ、などと参加者自身に感じて行動してほしいんです」

「環境への配慮」をうたう東京マラソンは、20年夏季五輪の東京招致をアピールする大会でもある。コースの環境を整え、ランナーのモラルに期待するしか、においのもとは絶てないのかもしれない。

週刊朝日 2013年3月15日号