帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
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鴻上尚史さん (c)朝日新聞社
鴻上尚史さん (c)朝日新聞社

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「世間から離れる」。

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【同調圧力】ポイント
(1)年をとったら自分の楽しみだけに専念しよう
(2)世間というルールに縛られていると息苦しい
(3)ナイス・エイジングとは世間から離れていくこと

 貝原益軒は『養生訓』のなかで次のように語っています。

「年老(おい)ては、わが心の楽(たのしみ)の外、万端、心にさしはさむべからず。時にしたがひ、自(みずから)楽しむべし。自楽むは世俗の楽に非(あら)ず。只(ただ)、心にもとよりある楽を楽しみ、胸中に一物一事のわづらひなく、天地四時、山川の好景(こうけい)、草木の欣栄(きんえい)、是又、楽しむべし」(巻第八の23)

 つまり、年をとったら自分の楽しみだけに専念して、ほかに気を使うのをやめなさい、と言っているのです。さらには世俗と離れて、本来の楽しみを楽しもうとも説いています。

 たとえば、天気のいい朝に、太陽の光を浴びながら、少し前であれば紅葉を眺めながら、散歩するといったことです。朝の空気を吸えば、清々(すがすが)しい気持ちになって、いま生きていることの楽しさを実感できます。

 ところが、それとまったく逆の光景を先日、目にしました。天気のいい朝に豊かな自然のなかを散歩するということは同じですが、みんなマスクをして、朝の清々しい空気を直接吸うこともなく足を進めている。これまでに何度も書きましたが、外をひとりで歩く時にマスクは必要ありません。しかし、マスク姿で景色を眺めるでもなく、黙々とひとりで歩いている。その表情は硬くて楽しそうには見えません。

 どうして、こうなるのでしょう。最近手にした本にその答えがありました。作家・演出家の鴻上尚史さんと評論家の佐藤直樹さんの対談をまとめた『同調圧力 日本社会はなぜ息苦しいのか』(講談社現代新書)です。

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帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

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