「入院の必要のない方には宿泊療養を勧めています。ご本人の安全・安心とご家族に感染させないためです」(東京都感染症対策部宿泊施設担当)
年末年始はクリニックが閉まるので、ホテル宿泊に同意したほうが安心か。医療ガバナンス研究所理事長の上昌広医師がこうアドバイスする。
「ほとんどの人は無症状のままで済むので、若い夫婦だけの家庭は自宅待機でいいと思います。高齢者と同居している人は、ホテルに入ったほうがいい。症状が急変することは非常に少ないのですが、心配な人はかかりつけ医や保健所と事前に相談しておくといいでしょう」
一方で、ホテルに10日間も缶詰めになるのはつらく、敬遠する人は多い。新潟大学名誉教授の岡田正彦医師が指摘する。
「日本は無症状感染者対策があまりにも不十分。武漢で感染が始まったとき、中国政府は早期に無症状や軽症の人を収容する巨大な病院をたくさんつくりました。部屋が広く体力が落ちないよう運動ができて、食堂なども整備されていた。日本の狭いホテルに閉じ込められたらストレスがたまってしまいます。多くの人が宿泊療養してもいいと思えるような施設を早くつくっておくべきでした」
今後、PCR検査はより国民に身近な存在になりそうだが、結果的に陽性と判定される人が増え、医療の逼迫につながると懸念する声もある。前出の上医師はこう語る。
「医療が逼迫するのは、無症状の高齢者や持病のある人を入院させているからです。病院は治療の場であって、隔離の場ではない。ホテルに常駐する看護師を増やし、オンライン診療を充実させればいいのです」
柔軟に制度を変えていく必要がありそうだ。(本誌・亀井洋志)
※週刊朝日 2021年1月1‐8日合併号