コロナ禍の中で迎える年末年始。帰省を選択したものの、感染への不安から自主的にPCR検査を受けたい人も多いのではないか。検査の費用はどれくらいで、もし、陽性と判定されたらどうなるのか。最近、増えつつある格安の民間検査センターとは。意外と知られていない実態を取材した。
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新型コロナウイルスの第3波が猛威を振るう中、低価格でPCR検査を受けられる民間施設が続々とオープンしている。東京・JR新橋駅前のビルの一角に12月4日に開設された「新型コロナPCR検査センター」は、人の出入りが絶えない。ここでは、無症状の人を対象に検査を実施しており、完全予約制で費用は2900円(税別)だ。
現在の仕組みでは、発熱などの症状がある人が病院やクリニックで医師から新型コロナ感染の疑いがあると判断されたときに、行政による検査が無料で受けられる。だが、無症状の人が心配だからという理由で検査を受けると、全額自己負担で2万~4万円かかるのが一般的だった。
それらに比べ、この検査センターは格安だ。開設後は年末年始に帰省や旅行を予定する人たちなどから予約が殺到。12月は予約が埋まっている状況だ。21日には新宿の歌舞伎町にも検査センターが開設され、やはり12月は満員になった。
新橋のセンターで検査を終えて出てきた人に話を聞いた。「この値段ならば受けてみようと思った」(21歳学生)、「正月に祖母のいる香川県の実家に帰るため」(28歳男性)。年配の女性は「入院中の夫がもうすぐ退院してくるので、念のために受けた」と語った。
センターを運営するのは、工務店などを傘下に置く木下グループだ。価格を抑えられた理由を担当者が説明する。
「検査キットを大量に購入することと、グループ内の医療法人が機器などの卸もしているので、通常のルートよりも安く入手できるのです」
手順は簡単。受付で検査キットを受け取り、会計を済ませる。選挙の投票所のような小さなブースに移り、ケースに唾液を入れる。それを袋にしまいスタッフに渡せば完了だ。渡航などで検査証明書が必要な人はプラス6千円(税別)で医師のオンライン診療が受けられる。検査結果は翌日、メールで通知される。木下グループの検査センターでは、1日の利用者が約750人にも及ぶ。陽性と判定される人は全体の1~1.5%だという。