「最近は身寄りがいても、『周りの人に迷惑をかけたくない』と言って頼めないことが多いようです。当会は、家族の代わりになれるような支援を心がけています」
普段は定期的に電話を入れ、安否確認を行う。緊急時は、連絡をもらったら2時間以内に搬送先の病院などに駆けつける。医師らに本人の既往症や普段使っている薬、生活状況を伝え、治療や手術の同意書への署名や生活必需品の購入なども手伝う。葬儀や納骨は、提携先の葬儀会社や霊園で受け入れてもらうこともできるなど、支援は手厚い。「一般用基本プラン」は預託金190万円が必要。ほかにも、同会の年会費や金銭手数料がかかる。ただ、支援の組み合わせを変えるなど、支援の受け方は選べる。預託金も、一括払いが難しければ毎月1万~10万円での「積み立て払い」も可能だ。
数年前に会員になった60代の男性は、今のところ健康面の不安はないが、やはり万が一の時に頼れる人がいないという。
「介護が必要な母親は同居する妹が面倒をみていますが、私は離れて暮らしており、妹とは長い間連絡を取っていません。決して仲が悪いわけではないのですが……」
同会は01年から取り組みを始め、これまで延べ1万2600人が利用した。存命の会員は現在4700人。利用者は増加しており、全国に15カ所ある事務所も、埼玉や千葉などで順次、増やす。
NPO法人「りすシステム」(東京都千代田区)も、葬儀や納骨、行政手続きなどの「死後事務」や、身元保証などの「生前事務」を引き受ける。現在、全国に九つの支部があり、約4300人の会員がいる。
「病院や介護施設、賃貸住宅をはじめ、最近は身元保証人が求められる機会も増えました。身近な生活支援を含めて、生前のサポートを求める方が多くなっています。また、夫婦やきょうだい、子どもといった身寄りがある人でも、遠方に住んでいたり、仲がよくなかったりして、頼れる人がいないという方も少なくない」(同会の担当者)