人生100年時代の最後は誰しも「おひとりさま」になる可能性は高い。独身の人だけでなく、夫や妻と離婚、死別したり……。家族がいても頼れる人はやがて少なくなる。最近は終活を支援するサービスが広がり、もしもに備え、「自分じまい」を準備する人が増えている。
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「病院に送ってくれたり、入院の手続きもしてくれたり、必要な物があったら、自宅から取ってきてくれる。一人だったら、どうなっていたか……」
都内在住の70代の男性はこう振り返る。男性は2年前、持病の脊柱管狭窄症が悪化し、歩けなくなった。自宅から、かかりつけの病院まで交通の便もよくない。そこで頼ったのが、終活をサポートするNPO法人「きずなの会」(名古屋市)。
同会は、病院や介護施設、アパートなどに入る際に求められる身元保証人を引き受けるほか、入院や入居の手続き、身の回りの世話などもしてくれる。亡くなった後にも、訃報の連絡や葬儀、納骨、死亡届の提出や公共料金の解約手続きなどを肩代わりする。
男性が入会したのは、それ以前に、別の病気で入院したのがきっかけだったという。
「退院後に相談に行った区の地域包括支援センターで紹介されました。両親はすでに他界し、兄は体調を崩しているし、弟とは疎遠。ずっと独身で、妻も子どももいないので、何かあった時に頼れる人がいない。きずなの会は、お墓のことや遺品の片づけも任せられるので助かります」
男性のように、不安を抱える人は多い。2019年の国民生活基礎調査によると、65歳以上の人がいる世帯のうち、28.8%が単身世帯で、これまでで最も多くなった。国立社会保障・人口問題研究所によれば、65歳以上の一人暮らし世帯は15年の625万世帯から40年に1.4倍の896万世帯に増える予測だ。「もしもの時に頼れる人がいない」という人が、今後はもっと増える。
そこで、生前のうちに終末期の身の回りの世話や、亡くなった後の葬儀や墓、相続などに自ら備える終活をサポートする取り組みが注目され、問い合わせが急増しているという。きずなの会の長谷川賀規・東京事務所長は、こう話す。