高齢者ホームに入居となると、老後の大切なお金を使うことになる。あれこれ悩む方も多いのではないだろうか。現在発売中の週刊朝日ムック「高齢者ホーム2021」では、高齢者ホームを探している人の具体的なケースを取り上げつつ、シミュレーションをもとにその人に合った方策を専門家に解説してもらった。その中から、「夫婦は離れて暮らしていい?」「介護のために仕事を辞めていい?」をテーマにお届けする。
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■ケース1:夫婦は離れて暮らしていい?
まずは、要介護になった妻を介護する夫のケースからです。
<夫婦ともに82歳で二人暮らし。妻が転倒による骨折で要介護3の認定を受ける。自宅での介護に限界を感じた夫はサービス付き高齢者向け住宅への入居を検討。夫婦での入居も考えているが、自分は自宅にとどまる選択肢も検討中。
その後、妻は84歳で要介護4、85歳で要介護5となり、その1年後に死亡すると想定。>
このケースについて、スターパートナーズ代表で介護コンサルタントの齋藤直路さんは、次のように話します。
「夫婦のいずれかが要介護となったことで施設入居を検討する場合、パートナーと離れて暮らすことに躊躇する人もいるでしょう。長い間連れ添ってきた夫婦ですから、高齢になってからの別居に不安を感じるのは無理もありません」
有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の中には、夫婦での入居を想定した広めの部屋を用意して二人暮らしに対応するところもあります。
ここでは、スターパートナーズの協力を得て、東京都内の標準的な価格帯のサ高住に、夫婦で入居する場合(A)と一人で入居する場合(B)でシミュレーションしました。
夫婦で入居する場合の二人分の月額利用料は約32万9000円であるのに対し、一人で入居する場合は19万1500円で、14万円近い差となります。
夫婦で入居できれば、精神面でも生活面でも支え合いながら生活できます。
ただ、その場合の月額費用は、介護保険の自己負担額を含めると35万6000円と、夫婦二人の一般的な年金額を大きく超えてしまいます。