「ゆきひら鍋が焦げていると、みそ汁を作ろうとして焦がしたケースが多い。高齢者はみそ汁を好み、作ることが多いが、ゆきひら鍋は短時間で温まるので、火にかけているのを忘れると、焦がしてしまいます。火の心配があるようならガスからIHに変えるのも一つの選択肢です」

【2】 同じ食品が必要以上に買い込んである

 例えば、しょうゆ。せいぜい1、2本のストックで十分なところ、何本もストックされていると、在庫の管理ができなくなっているということだ。

 永井さんは以前、介護ヘルパーに入った高齢者の家の冷蔵庫から、豆腐10丁ほどを発見。永井さんが「どうしてこんなにたくさんお豆腐があるの?」と聞いたところ、「いつも散歩で通る道に豆腐屋があり、やさしく声をかけてくれるから買った」と話した。その後、家族が病院に高齢者を連れていったところ、軽度の認知症の症状がみられたそうだ。

 また、別の高齢者のケースでは、マヨネーズが家の色んな場所から出てきた。階段下収納、キッチン収納など、すき間があるところに詰め込んであり、全部数えると30個ほどになった。永井さんが理由を聞くと「息子はマヨネーズ好きだから、切らしちゃいけないと思って」。息子は同居していないが、帰って来た時に困らないようにという親心からだったという。

「モノを色んな場所に収納してしまうという『定置管理ができていない』ということでもありますが、『自分の人生のいちばんよかったときの自分になっている』という軽度の認知症の症状が出ている例でもあります」

 また、食材ではないが、ラップや洗濯洗剤など高齢者は“便利”だと思っているモノは、大量に買い込まれることが多い。

【3】 消費期限切れの食品がたくさんある

 同じ時期に消費期限切れになった食品がたくさんあれば、その頃から食品の管理ができなくなっている可能性がある。

「ある高齢者の家では、ストックしてある食材が2018年12月で止まっていて、消費期限切れのモノがたくさん出てきたことがありました。その時期までは、「自分で料理をしよう」という意思があったのが、その後、食材管理ができなくなり、その頃の食材が消費期限切れとなって残ったと思われました。その後は、料理ができなくなり、弁当や総菜、パンなどを買って食べているわけですが、買ってきたパンなども消費期限切れのものがありましたね」

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