コロナ禍の帰省……迷うところだが、「高齢の親の様子を確認したい」という人もいるだろう。顔をみるだけでも安心だが、せっかく帰るなら、有用な情報を得たいもの。高齢世帯の片付けに携わるプロによれば、その人の健康状態は家の様子に現れるものだという。『日本初の片づけヘルパーが教える 親の健康を守る実家の片づけ方』(大和書房)の著者、永井美穂さんに経験から得られた知識を聞いた。
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「普段は離れて暮らしていても帰省をした際に、実家の様子から親の健康状態がわかります。この冬の帰省は、よほどの覚悟での帰省になるだろうから、不安を解消するためにも親をしっかり観察しましょう」
と語る永井さん。永井さんは「片付けヘルパー」として、単に部屋をきれいに整えるのではなく、つまずいて転ばないないように動線を確保するなど、高齢者が健康、安全に暮らせる環境作りを実践している。高齢者本人ではなくその子どもから、老親が住む実家の片づけを依頼されることが多いという。
その時に気づいた生活の異変は、実は認知症のサインだったというケースは少なくない。例えば、食べかけのおにぎりがタンスに入っていたなど明らかな異変もあれば、着替えていない、洗濯しないで同じ洋服で過ごしている、ベッドで寝た形跡がなく、どこで寝ているかわからないなど、見過ごしてしまうそうな「サイン」もある。
「住んでいる方の健康状態がいちばんわかるのが、キッチンです。また、キッチンの異変から認知症が疑われたケースも多くありました」
以下は、永井さんが片づけヘルパーの経験から、帰省時にチェックしておいた方がいいと思われるポイントだ。
【1】 食器が洗えていない、シンクやコンロ周りが汚れている
掃除ができているかどうかは、親がきれい好きかどうかなど個人差もあるが、以前と比べて明らかに食器がたまっている、シンクやコンロが汚れていないかチェックしておきたい。
また、食器が洗いかごにはあるけれど、湯飲みが茶渋でひどく汚れている、保存容器の縁などの汚れを落とし切れていないかなども見ておこう。以前はきれいに洗えていたのに洗えていないという証だ。また、飲みかけの湯飲みやコップが、あちこちに置きっぱなしになっていたら、注意が散漫になっているということ。
調理用具で、ぜひ確認してほしいのが鍋だ。