「領収書を紛失した、再発行できないと言っているのは、その宛名が公表できないものだからではないですか。もし、宛名が安倍晋三後援会ではなく、あなたが代表である政治資金団体『晋和会』だったなら、(秘書ではなく)あなた自身が政治資金規正法第25条2項違反で刑事責任を問われる可能性があります」
質疑に立った辻元議員はこう振り返る。
「安倍さんの態度は結局、何も変わっていない。領収書はないと言い、明細書についても同じ答弁を繰り返すだけ。この問題を明らかにするには、領収書、明細書、出納帳の3点を国会に提出するしかない。民間で社長が公に100回以上嘘の説明をし、部下に騙されたで通じるはずがありません」
■側近も首をかしげる
安倍前首相の一連の対応については、安倍内閣で官房副長官や文部科学大臣を務めた側近も首をかしげる。萩生田光一文科相は、秘書が事実を伝えていなかったという一連の疑惑について同25日の閣議後の記者会見で、
「自身でホテルへ調査し、確認すれば気づいたんじゃないかと思う」
と述べ、安倍前首相の当時の対応を疑問視した。その上で、「これだけ国会で問題になったわけで、もう一度確認すれば、15年度までは負担していた会場費がなぜなくなったのかというのは気づいたのではないか」とした。
※【「菅さんは決定的に間違った」自民党内から指導力いぶかる声 支持率急落に浮上の手立てもなし】へ続く
(編集部・中原一歩)
※AERA 2021年1月11日号より抜粋