「桜を見る会」問題で追及を受ける安倍晋三前首相が、自らの答弁について修正を求め、謝罪した。釈然としない部分が多い安倍前首相の答弁だが、その対応には側近も首をかしげている。AERA 2021年1月11日号では、同問題について取り上げた。
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7年8カ月もの長きにわたって、日本の政治権力の頂点に座り続けた最高権力者の目は、どこかおびえているようだった。ライフワークの憲法改正を高らかに主張する意気盛んさはもはや感じられなかった。白髪も増え、その表情は明らかにやつれていた。
昨年12月25日に行われた議院運営委員会。安倍晋三前首相が出席し、「桜を見る会」の前日にホテルで開催された夕食会費の補填(ほてん)問題をめぐり、首相在任中の自らの答弁について開口一番こう述べた。
「結果として事実に反するものがあった。改めて事実関係を説明し、答弁を正したい」
「改めて全ての国会議員に深く、心よりお詫びする」
首相経験者が自らの国会での答弁の修正を求めるのは、極めて異例な出来事と言える。神妙な面持ちで答弁に立った安倍前首相だったが、その表情が明らかに険しくなったのが、立憲民主党・辻元清美議員の質問時だった。
■裏帳簿の存在を疑う
「桜を見る会」問題が発覚後、辻元議員は何度も安倍前首相を問い詰めてきた、いわば「天敵」だ。辻元議員は、安倍前首相の事務所が訂正した政治資金収支報告書について、次のように問いただした。
「この訂正された政治資金収支報告書には、3年間とも領収書をなくしたという亡失届が添付されている。領収書がないのに、どうやって細かい数字が出せるのか。この数字を出せるとしたら政治資金以外のお金の流れを記した帳簿があるから。これを出してください」
「そんなものはない」と安倍前首相が否定すると、辻元議員は「そういうのを裏帳簿と言うんですよ」と言い放った。そして、領収書を出せない理由についてこう指摘した。