2020年東京オリンピック招致の気運が高まっている。生物学者の池田清彦氏は、前回1964年の東京開催は、高度経済成長期の日本にメリットがあったことを認めるが、「オリンピック景気と呼ばれた公共投資のふくらみにより税収が不足して、1965年から赤字国債の発行が始まったのも事実なのである」と指摘。2回目の東京開催に疑問を呈している。
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東京でオリンピックが開催されたのは1964年の秋で、私は高校二年生だった。オリンピックに間に合わせるべく、そのわずか9日前に東海道新幹線が開通し、首都高も62年からの突貫工事で空港西(羽田空港西)からオリンピックのメイン会場の代々木を通って初台までの路線を完成させていた。
さて、またぞろ2020年に東京でオリンピックをやりたいと騒いでいる輩がいるが、何を考えているのやら。1964年の東京オリンピックには多少のメリットはあったが、2020年に東京でオリンピックをするメリットは全くない。東日本大震災の復興もままならない現在、オリンピックに税金を注ぎ込むのはやめてもらいたい。招致委員会が発表したIOCの調査による都民支持率は70%だそうだから、是非ともやるというのなら、この70%の人たちから寄付を募って、その金でやって頂きたい。その方が、オリンピックのアマチュア精神にかなっていると思うけどね。
イスタンブールに譲ってやったらどうですか。かつての日本がそうであったように、これから発展しようという国にとっては、オリンピックの開催は夢のある話だろうからね。東京都の知事ともあろう人が、オリンピック誘致に血まなこになっている姿ははっきり言ってみっともない。政治家ならもっと他にやるべき事があるでしょうに。
※週刊朝日 2013年4月5日号