春風亭一之輔・落語家
春風亭一之輔・落語家
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イラスト/もりいくすお
イラスト/もりいくすお

 落語家・春風亭一之輔氏が週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「新刊本」。

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 1月20日にこの連載をまとめた『新刊本』が発売されます。ありがたいことです。3年ぶりの第2弾なのです。

 前回のタイトルは、このコラムを落語の「まくら」になぞらえて、オーソドックスに「いちのすけのまくら」としてみました。編集のK氏が決めたんじゃないかな。K氏は敏腕女性編集者です。年齢は私より少し上だったような気がします。ただ年齢より若く見えます。声の大きいキュートな方です。声の大きい→キュートはちょっと不自然な流れですが、褒めているので問題ないです。今どき珍しく腹から声が出ている人、ということです。繰り返しますが年より若く見えます。問題なし。

 前回のタイトル決めのとき、「柳家小三治師匠の講談社文庫の『ま・く・ら』は◯刷なんですよぉぉぉぉっ!!」とK氏。そんな人と比べられても困るんだけどな。◯の数字は忘れてしまいましたが、途方もない数です。まだそんなに儲ける気か!?という数。さすが人間国宝です。「あやかりましょうっ! 『まくら』と入れましょっ! 入れなきゃ売れません!」とK氏。で、ついたタイトルが「いちのすけのまくら」。パクリギリギリです。結果「いちのすけの~」はかろうじて重版。とてもあやかったとは言えませんが、私の独演会のロビーでK氏が声をからして売り子をつとめてくれたおかげです。「『まくら』いかがっすか~っ!!」と実に腹から声が出てました。さすが敏腕。

 今回のタイトルは……『まくらが来りて笛を吹く』。これもK氏の案です。お互いに意見を出し合って、煮詰まった揚げ句に「編集部でも評判がよいですっ!!」というので決まりました。

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