定員超過に伴う補助金削減を免れるため、入学意思のない付属高の成績優秀者たちに入試を受けさせていた「やらせ受験」が発覚した大阪産業大学(大阪府大東市)。この問題を受けて第三者委員会が設置されたが、メンバーの氏名は「非公表」。徹頭徹尾“隠し事”が好きな学校である。ノンフィクションライターの西岡研介氏と週刊朝日取材班は、警察OBでこの問題の“A級戦犯”である学校幹部を直撃した――。

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 問題発覚以降も大学側は取材に一切応じることなく、真相究明とはほど遠い状況だ。大産大の常務理事でもある重里政司事務局長は、週刊朝日がこの不正入試問題の取材を始めた2月の段階から、すでに“対策”に乗り出していた。

 2月18日、重里氏は急遽、法人・大学・産高・大阪桐蔭の管理職を集めた「部課長会議」を開催し、その席上でこんな発言をしている。

「今回、もし不正入試、これがあってですね、かなり上層部のものが関係してるということで認定されれば、組織ぐるみの不正ということになりますから、当然、補助金カットということになります。(中略)補助金カットはその年の秋口に決まるものですから、文部科学省から、出した補助金を秋に返還請求されるということに備えるということで、新しい予算項目について、経費節減をかけていく必要があります。(中略)ご理解のうえ、ご協力をお願いしたいのであります」

 つまりこの段階ですでに、補助金カットの可能性を認識していたわけだ。それもそうだろう。「やらせ受験」を実質的に実行したとされる越智雅之・前産高教頭が、その一部始終を記した告発文を土橋芳邦理事長(元「クボタ」社長)宛てに送ったのが2011年9月。重里氏は当時、土橋理事長、本山美彦学長とともにそれを握り潰した“A級戦犯”の一人、なのだから。重里氏を直撃したところ、こう答えた。

「広報を仕切っているのは私やなくて、峠(孝尊・理事)さん。第三者調査委員会の結果が出れば、それをふまえて学長が会見を開くと思います」

 だが、大産大のメディア対応については、峠理事が複数の記者の前で「重里事務局長の指示」と明言している。

週刊朝日 2013年4月5日号