例えば4話。渡し船失敗後、2人が「キス」について話すシーン。「こんなお似合いなカップルは愛の不時着でしか見られない」と入る。うん、うんとうなずき進むと8話、セリがジョンヒョクをわざと追い返すシーンで「この2人を幸せにしてあげて」。13話、セリの誕生日のシーンに「ペアリングをはめた日……」。14話、入院したセリにジョンヒョクが傷を見せるシーンでは「ドゥリカップルは本当に仲良し」。次第にジョンヒョク&セリなんだか、ヒョンビン&ソン・イェジンなんだかがわからなくなって、うれしい混乱。
スイスでの最終話では、ヒョンビンが四つ葉のクローバーを見つけるオフショット。そこから2人が花束を持つシーン。「ドゥリカップルのスモールウェディング」「字幕は不要」「ドゥリカップルの幸せな日」を読むうち、現実みたいでうっとりする。
■また緊急事態宣言下
マイおすすめナンバー1映像を紹介するなら、スタジオ撮影オールアップの瞬間。ヒョンビンが左手でソン・イェジンの左肩をポンポンポンと叩く。「お疲れさま」なのだけど、それ以上のドキドキ感が伝わってくる。超胸キュン。まるで自分の隣にヒョンビンがいるような錯覚、否、妄想さえしてしまった。
ヒョンビンと出会ったのは、最初の緊急事態宣言下だった。息苦しさから逃げたくて、「愛の不時着」を見まくった。そして、2度目の緊急事態宣言下に始まったこの展示。何という偶然だろうとあれこれ考える。
そう、ジョンヒョクには、こんな台詞があった。「僕が言ったろ? 偶然じゃなくて運命だと」
(コラムニスト・矢部万紀子)
※AERA 2021年1月25日号