「金銭トラブルは解決済みの事柄であると理解してまいりました」

 多くの国民にとっては想定外の内容で、その姿勢に疑問を感じたことだろう。

 紀子さまのご発言のトーンも少し変化してきたように思われた。2019年9月、皇嗣妃になられた紀子さまはお誕生日に際し、記者の質問に文書でご回答。眞子さま結婚についてのお気持ちについての質問の回答は、ぜい肉をそぎ落としたように、短くまとめられていた。

「延期のことも含め、現在、長女は、さまざまな思いを抱えていると思います。このような状況で、長女の気持ちを推測するなどして現状や今後についてお伝えすることは、控えたいと思います」

 その一年後の2020年9月のお誕生日に際しての文書でも、多くは語らなかった。

「長女の結婚については、対話を重ねながら、親として娘の気持ちを受け止め、一緒に考えていくことが大切だと考えています。その中では,共感したり意見が違ったりすることもありますが、お互いに必要だと思うことを伝え合いつつ、長女の気持ちをできる限り尊重したいと思っております」

 一見すると眞子さまの気持ちに寄り添い、応援していきたいという内容のようにも読めるが、池内さんは、あることに気がついいたという。

「『尊重したい』に『できる限り』という言葉がついています。もちろん、幸せになってほしいという思いが前提にあると思いますが、この表現が意味するところは何でしょうか。裏を返せば、『限度がある』というようにも読み取れます」

 紀子さまは、眞子さまの母親であると同時に、皇嗣殿下の妻であり、将来の天皇である悠仁さまの母親でもある。そうした紀子さまの難しいお立場が「できる限り」という表現につながったのかもしれない。眞子さまが結婚を機に皇室を離れたとしても、親姉弟としての関係は続いていくからだ。

 例えば、天皇陛下の妹の黒田清子さんは、結婚を機に皇籍を離脱されて一般人として生活している。池内さんはかつて「皇居勤労奉仕」に参加したとき、偶然、清子さんを皇居内で目にしたという。傍らには夫である都庁職員の黒田慶樹さんがいたそうだ。ちなみに、皇居勤労奉仕とは、一般の人が行う皇居の清掃や除草作業のこと。空襲で焼失した宮殿の焼け跡を整備に有志で申し出たのが始まりで、宮内庁が団体で受け付けている。

「夫婦ですから、行動を共にするのは当然ですよね。黒田さんご夫婦の姿を皇居で見かけたときに、違和感はまったくありませんでした。内親王が一般の方とご結婚されたとしても、何らかのかたちで関係は続くのだから、その相手にはふさわしいふるまいというものがあると感じたのです」(池内さん)

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