「番組を引き継ぐ際に自身のブログで、三浦さんを『とっても大切な友人』だったとつづり、『彼が愛し、作り上げてきたこの素晴らしい番組を受け継いでいくことが、彼が彼らしく、真っ直ぐに生きてきた証になると信じました』と記していました。そのコメント通り、実際に引き継いだ番組を見ていても、鈴木さんの包容力と優しさが伝わってきます。そういった温かさも、人気が絶えない理由のひとつだと思います」(同)

■妄想旅行記も出版して話題に

 温かさに加え、真面目や庶民派な部分も彼の好感度を支える要因となっているのではないだろうか。NHK大河ドラマ「西郷どん」(2018年)で主役を務めたクランプアップ報告会では、約15カ月間にわたる撮影から解放されたにも関わらず「最近、ペン習字講座をやっています」と明かし、記者を沸かせた。昔から字が汚くてコンプレックスだったそうで、1つコンプレックスをなくそうと始めたという。また、すでに人気者となっていた2015年、雑誌のインタビューで電車通勤をしていることを明かし、「地に足のついた生活をしないと、見えてこないこともあります。電車や地下鉄で見る人たちから学ぶことも多いですよ」とコメントしている(「GQ JAPAN WEB」2015年12月29日配信)。

 ドラマウォッチャーの中村裕一氏は、鈴木の俳優としての魅力についてこのように分析する。

「これまで演じてきた代表的な役を見ると、ストイックなボディコントロールもさることながら、なかなか表現が難しいキャラクターであるにも関わらず、どれもしっかり自分のものにして、見事に役に生命を吹き込んでいる。もちろんそれだけではなく、普通の役も違和感なく演じており、俳優として深い思考力と、果てしない想像力の持ち主であることがうかがえます。加えて昨年は、一度も行ったことのない世界遺産について情感たっぷりに妄想旅行記をつづった『行った気になる世界遺産』を上梓するなど、文章にも非凡な才能を発揮している。穏やかな笑顔だけでなく、知的でどこか哲学者のようなたたずまいが、多くの人をひきつけるのでは。なにより演技に安定感があり、余計な自分アピールをしないのでドラマ世界に没入することができ、それでいて存在感も抜群。これからもさまざまな作品に無くてはならない俳優であり続けると思います」

 今年は2006年の俳優デビューから15年という節目を迎える。8月20日公開予定映画「孤狼の血 LEVEL2」ではヤクザの組長、10月公開予定の映画「燃えよ剣」では新選組・近藤勇役にも挑戦。恋に不器用な漫画家、裏社会のボス、幕末の武士、振れ幅のある人物像をどんな役作りをして、どんな演技を披露するのか、その新境地が楽しみでならない。(高梨歩)

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