これらの仕事は、一度始めると後戻りできないのも事態を泥沼化させる。役所も政治家も間違いを認めることができないからだ。間違えましたと謝罪できれば、残業も大幅に減るはずだ。
そんな嫌な仕事ばかりなら、さっさと辞めればよいと思うが、そうもいかない。役人は出世できなくても、退職後が楽しみだ。そこまで待てば、悠々自適の天下り生活が待っている。若手が辞める例は増えているが、課長以上は潰しが利かない。辞めてもいい仕事には就けないので、我慢しようということになる。
ここまでくればもうおわかりだろう。
霞が関の残業を減らすのに必要な構造改革は、「理不尽な」政治主導を改め、政治家や役所幹部の不祥事に対して隠ぺいせずに事実を公表し、政治家や役所の利権を守るのもやめて、さらには、天下りをなくせばよい。
そんなことが菅政権にできるのか。先週の週刊文春で明るみに出た、菅義偉首相の長男による総務省幹部接待疑惑に官僚がどう対応するのか。これを見れば、おのずと答えはわかるだろう。
※週刊朝日 2021年2月19日号