そして実は、免疫力を高めるのに、体温以上に重要なことがあります。それは腸内環境を整えることです。
近年、腸管免疫が注目されるようになりました。免疫細胞の60%が腸管に存在しているというのです。ですから、腸内環境が悪いと、多くの免疫細胞の力を低下させてしまうことになります。
以前にも書きましたが、東京大学名誉教授の光岡知足先生が、腸内の様々な細菌は共生し、一つの生態系(腸内フローラ)をつくっていることを明らかにしました。そのなかで善玉菌が優位になると、腸内環境が向上し、免疫力も高まります。
善玉菌の代表は乳酸菌です。この乳酸菌を含む食物を大いに取って腸内の善玉菌を増やしましょう。ヨーグルトなどの乳製品や味噌(みそ)、醤油(しょうゆ)、納豆、ぬか漬け、日本酒といった発酵食品を食べればいいのです。
体温を上げて、腸内環境を整える。この二つを実行して冬の寒さを乗り切りましょう。
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中
※週刊朝日 2021年2月19日号