1998年に写真家としてデビューしてから、マドンナやレディー・ガガ、浜崎あゆみ、松任谷由実などの第一線に立つアーティストや、海外のファッション誌や広告の撮影に明け暮れる日々を送ってきた。
17歳年下の、米国オハイオ州生まれの英語教師ジョシュアとの出会いは、17年12月、広島での撮影会プロジェクト「OUT IN JAPAN」でのことだ。
「OUT IN JAPAN」とは、LGBTQといった性的マイノリティーの人たちのポートレートを全国各地で撮影・発表するものだ。レスリーがライフワークとする企画で、LGBTQを身近な存在として知り、正しく理解してもらうことが目的だ。
■渋谷である理由とは
ジョシュアは当時、米国の大学のインターンとして岡山の大学に留学中で、ネットで撮影会を知り会場を訪れた。その彼にレスリーが一目ぼれした。
「僕が撮影した、みんなのポートレート写真に囲まれるなかで、化学反応がパーッと起きたみたいだった」(レスリー)
その後、ジョシュアは米国に帰国し、大学を卒業。遠距離交際を経てレスリーが渡米し、ジョシュアの実家でプロポーズし、二人はパートナーになった。渋谷区役所によると、パートナーシップ証明書を取得したのは、二人で50組目だという。
なぜ、シンガポールで生まれたレスリーと、米国出身のジョシュアが東京・渋谷を選んだのか。「渋谷である理由」を、レスリーはこう語る。
「渋谷は僕が多くの人と出会い、インスピレーションを受けてきた街。僕たちだけじゃなく、みんながイコールに人権を持っていて、一人ひとり認め合える社会をどうつくっていくか、考えるきっかけになればと思った」
ジョシュアは、「現状では最善の方法だと思います。ただ、婚姻届とは異なります。(日本は)ちょっと(変革が)遅いという印象も抱いています」と話す。
日本は、主要7カ国では唯一、制度として同性婚とパートナーシップ制度のどちらもない。選択的夫婦別姓制度と同様、国はいっこうに同性婚合法化を進めようとしない。