大河ドラマ「麒麟がくる」で注目を集めた門脇麦さん。デビューの経緯や家族、名前の由来など、作家の林真理子さんとの対談で明かしました。
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林:私、「まれ」(NHK朝ドラ、2015年)で初めて門脇さんを見たとき、単に可愛いだけじゃなくて、すごく個性的で強く印象に残ったんです。そのあと映画の「二重生活」(16年)を見たら、なんか不思議な役で、これも印象に残りました。今度はNHK大河(「麒麟がくる」)で、駒という大きな役をなさいましたね。着実に階段を上ってきたという感じで、すごいですね。
門脇:ありがたいです。
林:「麒麟がくる」では、1回目に駒が「きっと麒麟が来る」って言うんですよね。このドラマの始まりを告げる重要なセリフを。
門脇:そうですね。台本を読んだとき、ドキドキしました。
林:市井の人を代表するような感じで、光秀にいろんなことを言ったり、戦国の世のふつうの生活を見せてくれるのが駒でしたね。
門脇:脚本の池端(俊策)さんも、たぶんそこを描きたかったんだと思います。
林 そして今度公開の映画「あのこは貴族」(2月26日全国公開)ですけど、私、山内マリコさんの原作は読んでいて、本のオビも書いたんです。小説は田舎から上京してきた子の視点で描かれてたけど、この映画は門脇さん演じる華子が中心に描かれていますね。
門脇:筋書きはそうかもしれないですね。
林:東京生まれの東京育ちで、今どきの子とちょっと違って、全体的にもっさりした雰囲気の良家のお嬢さんを、よく表現してるなと思いましたよ。
門脇:アハハハ、ちょっと古風ですよね。
林:私、“仲人おばさん”で、いろんなお嬢さんにお見合いさせてるんだけど、いまどきあんなふうに着物を着て、お座敷でお見合いってまずないですよ。大体みんなカジュアルなジャケットで、食事したりお茶飲むぐらいじゃないかと思うけど。
門脇:そうなんですか。私は東京出身で、幼稚園から大学まで一貫の学校に、中学のときだけ通っていたので、華子みたいな家柄の子は、わりと身近にいたんです。条件に合わない人を家に連れてきても、親が「ダメ」って言うから、その辺りは割り切ってお見合いしてるという子がいるのも聞きます。