96年、成人病と呼ばれていた病気の一群は、生活習慣病に名称が変わる。
「肥満を背景として、これらの病気が低年齢化したためです。食生活や運動習慣、飲酒、喫煙などの生活習慣が発病に大きく関与することから、予防に努めることを重視するようになりました」
と柏木さん。これらの病気には共通して内臓脂肪が作り出す悪玉物質のサイトカインが影響することがわかり、2005年にはメタボリックシンドロームという概念が登場した。
週刊朝日は早い段階で「長寿」に注目している。興味深いのが1967年の記事「あなたも一〇〇歳まで生きられる」で長寿10原則を載せている。ちなみにこのときの平均余命(40歳の人が何歳まで生きられるか)は、男性73歳、女性が77歳(グラフ)だ。100歳以上は252人(当時の厚生省調査)。2020年は8万人超なので、300倍も増えている。
10原則は、(1)生まれつきの素質(2)健康な食生活を送る(3)働く(4)睡眠や休息を取る(5)適度に運動する(6)円満な家庭(7)清潔にする(8)趣味を持つ(9)病気の早期診断を受ける、最後は(10)生きる意思を持つ、でなるほど納得だ。
「介護保険の創設に向けて、問題提起の一つとなった記事」と三原さんが指摘するのが、「老人病棟」シリーズ。記者がさまざまな老人病棟に潜入し、問題点をあぶり出すルポだ(1985年~)。「ボケ老人をさらにボケさせる薬を人体実験してみました」では、入院患者を、ベッドに縛り付けるのと薬を使うの2本立てで自由を奪う病院を紹介している。介護保険制度が始まったのは15年後の2000年だ。
健康ブーム関係では、「ヨーグルトきのこの正体はこれだ」(1994年)で過熱ぶりを紹介。「閣僚がこぞって信奉する野菜スープの『怪人』」(同)では、末期がんの患者を回復させるとうたったスープと、それを広めた人物を徹底追及する。
2000年以降はダイエット法や長寿法、健康法が目白押し。超高齢社会となった世の中の関心が、健康や病気予防に向いたということだろう。(本誌・山内リカ)
※週刊朝日 2021年3月5日号