月経開始の3~10日前から始まる精神的・身体的症状で、月経開始とともに減退。消失する。70%ほどの女性が何らかの症状を持ち、6.5%の日本人女性が社会生活に影響がある中等症状以上との報告があり、治療の対象となるという。中でも精神症状が強く現れるのがPMDD。1.2%の日本人がPMDDであるとの報告もある(※2)。

 例えば、生理前になると、イライラしたり、怒りっぽくなったり、批判を気にして情緒不安定になったり……。うつ気分や落ち込みがひどい、ちょっとしたことで不安感や緊張感が高まる、物事への興味や関心が薄れる、注意力が散漫といった症状がみられ、生理が来るとそれが自然と解消されるようであれば、PMSやPMDDかもしれない。もちろん心の変化だけなく、胸のハリや、体重増加、疲れやすさ、熟睡できないなど身体的な症状を伴うこともある。心当たりのある人は、以下のチェックシート(※3)を試してみるといいだろう。

【PMDD ~月経開始前1週間について~】
□うつ気分や落ち込みがひどい
□不安、緊張感、どうにもならない、がけっぷちなどの感情がある
□拒絶や批判に対する感受性が高くなったり、情緒的に不安定だったり、予測できなかったりする
□イライラしたり、怒りっぽくなる

○趣味や日常活動に興味が薄れている
○物事に対する集中力が薄れている
○いつもより疲れているし、活動性が低い
○炭水化物を偏って摂食したり、同じものを食べ続けたりする
○睡眠過多だったり、睡眠不足だったりする
○限界感、自己喪失感がある

●月経前に以下の少なくとも2つの症状のために悩まされる
( )乳房痛・張った感じ ( )頭痛 ( )関節痛または筋肉痛 
( )ふわふわした感じ ( )体重増加

<以下の4つすべてにチェックが入った場合はPMDDの可能性がありますので、医師に相談してみましょう>
・□の4項目のうち、少なくとも1つに当てはまる
・□と○にチェックが入った項目の合計が、5つ以上になる
・□と○にチェックが入った項目の大部分は、月経開始後3日以内で消失する
・●の症状があるとき、日常の活動が障害される
(監修:田坂慶一)

 女性の身体は、約28日周期で2種類の女性ホルモンの分泌量とバランスが変わり、それと連動しながら子宮や卵巣の状態も変化する。いわゆる月経周期だ。よく誤解されていることだが、PMSやPMDDの原因は、「女性ホルモンの過不足」や「バランスの悪さ」ではない。 きちんと卵巣から排卵し、女性ホルモンが分泌されるため、月経周期でPMSやPMDDは起こる。疲れやストレスにも起因すると言われているが、その発症メカニズムはいまだ不明点が多い。ただ、月経周期で心や身体に不調が現れるなら、婦人科や心療内科を受診したほうがいいだろう。

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止まらない愚痴……ある日突然夫は