「無理して長く寝る必要はありません。量を意識しすぎて、入眠のために睡眠薬やアルコールに頼るのは熟眠感を生む睡眠リズムの障害になるのでNGです」

■歩きながら計算 2動作を同時に

 快適な入眠のために最適なのが日中の歩行だ。

「ただ歩くのではなく、50から3を引き続ける引き算を口に出しながら歩くなど、頭と体を同時に動かすコグニサイズが有効です。二つの動作を同時に行う習慣を続けると、アミロイドβが減ることが証明されています」

 脳の衰えを防ぐために「脳トレ」と呼ばれるパズルなどに取り組んでいる人も多いのではないだろうか。しかし、内野医師は、こう指摘する。

「欧州の研究などでは、脳トレには認知機能低下を防ぐ効果はないとするデータや、科学的根拠が不十分であるとする発表があります。効果があると信じ切って、義務感で続けているとすれば意味がありません」

 もちろん自身の趣味として続けている分には問題ない。メカニズムを理解したうえでの対処が大事なのだと内野医師は強調する。

 紹介した方法は何歳からでも効果はあるとのこと。習慣づけることが大切だ。(本誌・秦正理)

週刊朝日  2021年3月12日号より抜粋

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秦正理

秦正理

ニュース週刊誌「AERA」記者。増刊「甲子園」の編集を週刊朝日時代から長年担当中。高校野球、バスケットボール、五輪など、スポーツを中心に増刊の編集にも携わっています。

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