昨季限りで巨人戦力外となった宮国椋丞投手(28)をDeNAが育成枠で獲得した。新型コロナウイルスの影響で外国人選手が来日できず、手薄な戦力を埋めるため、急きょ、宮国に白羽の矢が立った形だ。首の皮一枚でつながった元エース候補は、この“タナぼた”を生かせるか。

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 巨人では2013年に開幕投手を務め、一時は将来のエース候補と目された宮国。だが、期待を裏切り続け、プロ10年目の昨季は10月に右肩の不調により離脱。21試合で0勝0敗、防御率5・33に終わり、シーズン終了後に戦力外通告を受けた。

 その後は、日本プロ野球機構(NPB)での現役続行を目指して自主トレを重ね、1月にはかつて巨人のエースとして君臨した内海哲也(現・西武)の自主トレにも帯同した。圧倒的な練習量を課すことで恐れられた「鬼の師匠」のもとで心身を鍛え、他球団からのオファーを待っていた。

 だが、入団テストの打診すらないまま、キャンプ期間は終了。シーズン開幕前の球界復帰は絶望視されていた。

 全国紙スポーツ担当記者は語る。

「DeNAは、宮国を獲得候補の一人にリストアップしてはいました。ただ、積極的に獲りたいという意味合いではありません。もし宮国が独立リーグなどで野球を続け、目覚ましい活躍を見せたら、さらに投手陣に緊急補強の必要性が生じたら獲得の検討に入るかもしれないというレベルでした。育成枠なら獲ってもいいのでは、という声もありますが、DeNAは育成枠の若い外国人投手を複数抱えていて、彼らの大化けに期待している。28歳の宮国は、球団の育成方針とは合わないんです」

 だが、崖っぷちの状況で“神風”が吹いた。新型コロナの影響で、外国人選手10人全員(育成選手5人含む)の来日のめどが立っておらず、開幕を前にして戦力に予期せぬ穴が開いたのだ。

 特に投手陣では、昨季56試合に登板し、勝ちパターンの一人として定着したエスコバーの不在は痛い。宮国と同じ右腕では、先発ローテーション入りが期待される2年目のピープルズが欠け、MLBでの登板経験があり剛腕と評される新外国人のロメロは、実力を測る機会すらない状況だ。

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