カンボジアで働く中国人の意識のなかには、「ここでは金を渡せばなんとでもなる」という意識が浸透しているという。
「中国人の態度を目にすると、ムッとすることもしばしば。注文も中国語で、英語やカンボジア語は一切使わない。支払いも中国元を当たり前のように差し出す」
プノンペンのレストランのオーナーは語る。
その発想が、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ隔離にも及んでいる? たしかに隔離14日間はつらい。しかしプノンペンに住む知人はこう教えてくれた。
「隔離ホテルからの脱走ビジネスが生まれているんですよ。中国人から賄賂を受けとり、ホテルのスタッフが脱走させる。捕まっているのは氷山の一角ですよ」
■下川裕治(しもかわ・ゆうじ)/1954年生まれ。アジアや沖縄を中心に著書多数。ネット配信の連載は「クリックディープ旅」(毎週)、「たそがれ色のオデッセイ」(週)、「沖縄の離島旅」(毎月)、「タビノート」(毎月)