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「YouTuberになりたい」「人気者になりたい」「インフルエンサーになりたい」と考える人は少なくありません。私も顔出しYouTuberとして5年ほど活動しました。当時は顔を出していた方がラクだったことや、数字が取りやすかったことなどが理由でしたが、数年前と現在では、YouTuberが置かれている状況は異なります。チャンネルや動画の数が増え、ジャンルも多様になっています。視聴者も多くのコンテンツを見慣れている状態です。そうした状況で起きているのが、中田敦彦さんの言葉を借りると、「有名税の重税化」と呼ばれる現象です。端的にいえば、顔出しYouTuberの割が合わなくなっています。今回は、「顔を出して発信すること」について考察します。
数年前に比べてYouTubeなどの「インターネット上のコンテンツ」やSNSを利用する人の数も時間も増加しました。かつてはYouTubeは若者のメディアというイメージでしたが、いまではシニアを含む多くの世代がYouTube上の動画を視聴しています。
YouTuberには様々なタイプがあり、最近ではVtuberと呼ばれるバーチャルな存在のYouTuberや、あえて顔出しをせずに料理や楽器の演奏や飲食する風景などの投稿をするスタイルも増えており、顔を出さなくても人気になれるジャンルも多いです。相対的に、顔出しYouTuberは割が悪いと感じることも増えました。
顔を出すということは、見知らぬ人に自分の姿を知られることです。チャンネルが成長すると、YouTubeに出ていないプライベートな時間でも、視聴者に声をかけられたり発見されたりします。「いつ誰が見ているかわからない」状態になるので、チャンネルや動画が人気になればなるほど、言動に制限が発生し、自分の時間も自分らしく過ごせない場合があります。住居や生活空間が特定されるなどの個人情報漏洩のリスクや誹謗中傷やストーカーなどの犯罪にあうリスクもあります。これらは芸能人やインスタグラマーなどにも共通する有名税ですが、「動画の中の自分」と「素の自分」が異なる人ほどストレスが溜まります。
また、顔をだすと「演者の加齢」の問題にも直面します。意外に知られていませんが、顔出しYouTuberの大きな課題は演者の加齢です。「視聴者の加齢」は、次の世代の視聴者に見てもらえばいいので大きな問題にはなりません。例えば子供向けのアニメは、「そのとき5歳の人」に見てもらえば良いので、視聴者が10歳になり10歳向けのコンテンツに移行しても、5歳になる子は毎年いるので何年も存続します。ドラえもんやアンパンマンやサザエさんやポケットモンスターなどが長く続いている理由です。