まずはゴムチューブを腰に巻き、一方の端を依田政彦通訳に持たせてのランニングからスタート。さらにボールを8個グラウンドに置き、ボール目がけて中腰の姿勢でダッシュしたが、拾い上げたボールをなぜかまたいでそのまま前進するという“トンネルの練習”に、周囲は唖然とした。

 本人いわく「ここ10年ほどいろいろなトレーニングコーチのアドバイスを受け、こういう形になった」そうで、メジャーでの実績を考えると、説得力があったのも事実だった。

 そして、シーズン開幕後も、フェルナンデスは変わった調整法で話題を提供する。

 4月13日のダイエー戦を最後に33打席ノーヒットと不振に陥ったフェルナンデスは、5月27日のロッテ戦の試合前、秋田八橋球場に備え付けのハンマーを借りると、打席に立つ前の素振りに使った。

 すると、いきなり本塁打を含む4打数4安打の“ハンマー効果”。「ホームランはたまたまだけど、4本はうれしい」と喜んだフェルナンデスは、この“打ち出のハンマー”を譲ってもらい、神戸まで持って行ったところ、同30日のオリックス戦でも、2ランと二塁打で4打点を挙げ、チームの勝利に貢献している。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2020」(野球文明叢書)。

著者プロフィールを見る
久保田龍雄

久保田龍雄

久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。

久保田龍雄の記事一覧はこちら