177cmと決して大柄なわけではないが、昨年秋と比べても一回り体つきが大きくなり、躍動感溢れるフォームは見ていて爽快感を覚える。ステップした左足の着地が安定し、しっかりとボールに体重が乗っているのが大きな長所。12個の三振のうち8個がストレートで奪ったものであり、空振りを奪う場面も多かった。秋にはあまり投げていなかったチェンジアップのブレーキも良くなっており、変化球の質も高い。夏までにもう一段階全体的にレベルアップすることができれば、先輩の高橋宏斗(中日)に続く1位指名も見えてくるだろう。
そしてスケールという意味では小園、畔柳を上回るインパクトを残したのが達だ。1回戦の宮崎商戦では変化球のコントロールに苦しんで161球を投じたものの、10三振を奪って1失点完投。そして続く2回戦では強打の健大高崎を相手にわずか2安打で完封という圧巻のピッチングを見せたのだ。昨年秋と比べても明らかに体重移動のスピードが速くなり、それに伴ってストレートもスピードアップ。1回戦では146キロ、そして2回戦では自己最速を更新する148キロをマークした。
しっかりと体の割れを作って、ゆったりとステップして投げられる点は小園と畔柳を上回っている部分である。193cmという長身と長いリーチを持て余すことなく上手く使い、全体的なフォームのバランスも悪くない。まだ体は細く、躍動感などは物足りないところがあるものの、身長に見合うだけの筋力がついてくれば、楽に150キロ台中盤をマークする可能性は高いだろう。腕の振りが強くなったことで少し変化球のコントロールに狂いが生じているように見えるが、指先の感覚が良く、それなりにまとめられるというのも大きな長所だ。今大会の投球で一躍1位候補に名乗りを上げたことは間違いないだろう。
その他の投手では木村大成(北海)、伊藤樹(仙台育英)、石田隼都(東海大相模)、花田侑樹(広島新庄)なども高校からのプロ入りを目指せるだけのパフォーマンスを見せていた。