カーティス:はじめから睡眠コンサルタントとして活動するという目標があって資格取得を目指したのですか?

愛波:はじめは自分の子どもの育児のためでした。乳幼児の睡眠の本や論文をたくさん読み、長男が10カ月のときに独自のねんねトレーニングをやってみたら、毎晩7時に寝て朝まで起きないので自分の時間を持てたんです。余裕ができたので、再就職して、同時に睡眠のことを深く学ぶことにしました。通勤の車の中で講義を聞き、お昼休みに課題をやり、終わらなければ子どもが寝た後に勉強していました。

カーティス:資格取得までの勉強期間はどれくらいでしたか?

愛波:1年半くらいかかったと思います。その間もまわりのママ友に「ねんねの悩みない?」など質問して、勉強した知識をアウトプットしながら無料でコンサルテーションを行っていました。

カーティス:愛波さんが資格を取得して、コンサルタントとしての活動を始められた2014年ごろ、日本には乳幼児の睡眠の悩みについてコンサルを受けるという文化はありましたか?

愛波:まったくないどころか、「なにそれ?」と怪しまれていました(笑)。でも私は必要だと思ったから、ひたすら活動を続けました。徐々に、徐々に広まって、今は日本に220名くらいの生徒さんがいます。睡眠に関する本も出版されるようになり、手応えを感じていますが、そもそも日本人は睡眠の悩みには解決策がないと思っている。「ママは夜中に起こされて授乳するのが当たり前」「ママが睡眠不足になって当たり前」という文化が残っているように感じます。

カーティス:アメリカでは働く女性が産休を取っても、4カ月程度で職場に戻るのが普通ですよね。そういうことも影響しているのでしょうか。

愛波:そうですね。アメリカと日本のママを見ていて明らかに違うのは、アメリカのママたちは「自分の時間をどう捻出するか」「自分がハッピーになるためにどうすればいいんだろう?」ということを考えている。「この子が寝なければ、私はジムに行けない!」というような考え方は、日本人からは自己中心的に聞こえてしまうのかもしれません。

カーティス:日本には「ママは子育てに苦労するのが当たり前」、「自己犠牲が当たり前」という考え方が浸透しているのかもしれません。

愛波:子育ては保育者がハッピーであることが大事です。保育者の心情は子どもに全部伝わります。睡眠の勉強をして、いろいろなママたちをみてきて、本当にそう思います。

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